アイルランドの炎を感じて
(ILISH COFFE)
北緯54度。寒さが厳しい北の地で生まれたのがアイリッシュコーヒーだ。飛行場のパブのバーテンダー、ジョー・シェリダンが搭乗待ちの乗客のために考案。ヨーロッパから大西洋横断空路の給油待ちをするアイルランドのシャノン空港でも、地元のウイスキーと酪農大国としての自慢のミルクを使ったカクテルは寒さをしのぐために人気を得た。
店主の松葉は、メニューに加えようとアイルランドを訪れ、「いろんなところで飲みましたが、あまりにポピュラーなためか、味わいはとてもシンプル。作り込んだ感じが余りしなかった。コーヒーは薄めで、高級感がなかった」。ところが、帰りに寄ったロンドンのサボイホテルのバーでオーダーすると、「コーヒーが濃く、程よいアルコールバランス。冷たさと、温かさが絶妙に表現されていた美味しかった。コレや!、と」。
エスプレッソマシンやハンドクリーマーなど道具の進化で日本のオーセンティックバーにも定着するようになったが、仕上げに炎を上げるスタイルは、まるでマジックを楽しむかのよう。鮮やかに刻まれたウォーターフォードのグラスで味わえる高級感漂う逸品だ。