終わりなき旅、終わりなき探究心
「終わりのない旅のような仕事ですが、まだ模索しています。その中で、定番のもののよさをきちんと伝えたいですね。ステアやシェイクなど作り手によって味が違うことも感じていただけるように努力したい」。今気になっているのは、日本のバーが持つ古い技術。「普段は実感がなくても、重要なことがあるなと思いますね。なぜ、これを普通にやってきたんだろうと。例えば、丸い氷。海外ではなかなかないものですし、バースプーンの回し方にしても、材料のセレクトや保存方法、保存温度も日本独特のものがある。なぜ日本だけこうなったんだろうと思うことが多いです。先達の諸先輩から話を聞かないとわからないことが多い。そこに海外とは違う日本のクオリティーあると思います」。
あくなき探究心は、スタンダードさえもアップデートする。オーセンティックバーの王道をいく。松葉氏のカクテルには何かが違う驚きを感じ、笑みが溢れるはずだ。
オーナーバーテンダー:松葉道彦(まつば・みちひこ)
1967年、大阪市生まれ。飲食店で約3年、調理を担当した後、21歳でBar,Kのオープニングスタッフとなり、その後、チーフバーテンダー、店長を務め、2005年、オーナーに。1997年、全国バーテンダー技能競技大会の課題部門で優勝。2007年にハバナクラブのモヒートコンテストでグランプリ受賞。現在は一般社団法人日本バーテンダー協会(NBA)関西統括本部本部長。